荒廃地先駆植生についての研究(第2報) : 荒雄川流域における第3紀層地帯の崩壊地について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
荒廃地緑化にあたり, 環境条件に適応した植生導入上の資料とするために, 宮城県荒雄川流域の新第3紀層地帯に散在する山地崩壊面を対象に, その先駆植生を調査した。1. 初期階段の植群として, 崖錐面にはオオヨモギ-アキタブキ-スギナ, 滑落面にはヤマブキショウマ-ミヤマヤナギ-ウメバチソウの草本群落が発達する。このあと, ヤマハンノキを主とする途中相に, さらに, 周辺に類似したブナを主とする森林群落に推移し安定するものと考えられる。2. 群落の生活型組成では, 休眠型の立場からみると, 初期は一年植物, 半地中植物や地中植物が大半を占めるが, 安定するに従いその割合を減小し, 次第に地上植物が増大する。また, 繁殖型の立場からみると, 初期は移動植物や根茎植物が大半を占めるが, Stageの進行とともに, それらの割合が減少してゆく。3. 崩壊面に最初に植群が発達するのは, 脚部における崩土の移動がとまり, そこに崖錐状斜面がつくられるときにはじまり, 幾度か破壊と発達がくりかえされたのち, 次第に斜面上部へ植被を拡大させてゆく。側方または上方の既存森林群落からの侵入は, 中期段階以降おいて著しい。4. 崩壊面の植群の発達が土壌にあたえる影響は, Stageの進行とともに, 土層の分化が明確化し, 根系の発達と地中生物の活動によつて表土を膨軟化し, 粗孔隙を増加させる。容積重・圧結度・pHなどは減小したが, 腐植・全孔隙などは増大し, 侵蝕に対する抵抗性を強める傾向があつた。5. この調査の結果から, この地域に適当と考えられる治山樹草として, 草本類22種, かん木類6種, 高木類11種があげられる。
- 日本森林学会の論文
- 1960-11-25
著者
関連論文
- アカマツの有林地と無林地における土壤含水量の季節的変化について
- 1.林地における水の浸透(第18回森林保全懇話会シンポジウム)(山地における水収支機構)
- アメリカ西部地方のある流域における浸透におよぼす放牧の影響
- ○砂質土壌の牧野で20年間差別放牧による水吸收機能にあたえた影響
- 模擬的な放牧と施肥による牧野の水吸収機能にあたえた影響
- 牧野における放牧強度の影響による流出
- 差別放牧により影響をうけた牧野の雨水滲透と植物組成
- ○試作した土壌侵蝕計
- ○南西ミシガンのYellow-Poplar造林地の生長とその栄養との関係
- 905. 土砂流出防備林の機能についての研究(第1報) : 土砂流出防備のための適樹試験(第74回日本林学会大会講演要旨)
- 流出・侵蝕および土壤団粒化におよぼす土壤改良剤HPAMの効果
- 209.治山用樹草の繁殖法についての研究(第1報)タニウツギとキツネヤナギのサシキ試験(防災・森林利用)(第71回日本林学会大会)
- 208.治山樹種としてのタニガワハンノキ(コバハン)の荒廃地導入成績(予報)(防災・森林利用)(第71回日本林学会大会)
- 荒廃地先駆植生についての研究(第2報) : 荒雄川流域における第3紀層地帯の崩壊地について
- 火山灰土壤の水分経済に関する研究
- ○流域上における植生の水分貯留
- ○土地利用の相違が土壤の凍結と融解の時期におよぼす影響
- ○草植生による遮断損失
- 荒廃地先駆植生に関する調査 (第1報) : 十和田シラス地帯の崩壞地について
- 火入れは地表流下と侵蝕に関係したか
- 火入れおよび無火入れ両状態での山地土壤の相対的滲透レート
- 高海抜地帯の緑化試験施工 : 北上山地における荒廃地緑化(『亜高山地帯の緑化』)