アカマツ及びクロマツの樹木内におけるP^<32>の移動と分布

概要

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樹木中の無機栄養素の移動を明らかにするためにこの実験を行つた。アカマツ及びクロマツを供試木とし, 放射性同位元素P^<32>を追跡子として用いて, 樹木内のP^<32>の移動速度及び樹木各部位におけるP^<32>の量的変化と分布をしらべた。また樹皮上に塗布したP^<32>の吸収及び注入木の根を通じての移動の有無をしらべた。これらの実験の結果から次のようなことがわかつた。P^<32>の移動速度は, 供試木では幹よりも根の中の方が早く, 樹種別ではクロマツがアカマツより早い。その移動の過程ではまず枝のつけね及び芽のつけねに多量蓄積され, その後上方へ移動する現象がみられた。一定期間後には, P^<32>は生長の盛んな芽や根の先端に多く存在した。立木に注入したP^<32>は蒸散, 代謝作用の盛んな南側により多く移動していた。樹皮の上から塗布したP^<32>は, 滲透吸収されるが, その量はわずかであり, また注入されたP^<32>は根を通じて他の木に移動しないようであつた。
日本森林学会の論文
1957-08-25