スギ精英樹繁殖に関する研究(I)
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概要
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スギは一般にさし木の容易な樹種とされているが, 母樹の年令が古くなるにつれてネヅキにくくなる。精英樹は年老つた実生樹から選抜されるので, このことが精英樹繁殖の障害となつている。一方スギのツギキは精英樹から採種園を設定するため, 必要な手段であるが, その方法については, 殆んど報告がなされていない。この報告は精英樹のクローン増殖にあたつて, 上記の問題を解決し, 増殖上最もよい方法を見出すため行つたもので, 1年で発根しないサシキ苗の取扱いと, ツギキにおいてツギ砧の問題及びビニールフイルム使用の効果を知るため試験したもので, その結果を要約すると次の如くである。1.サシ付けた年, 発根しない苗木は, 翌年床替することによつて発根率を増加する。その増加の割合や総発根率は個体によつて差があるが, 総体的には床替によつて, 約2倍に発根率を向上せしめることができた。また, このようにして発根したものについて, 令級別に難, 易個体の現われる率を調査して見たところ, その出現状況は令級には余り関係がなく, 全体を通じて, 発根の悪い個体が25%以上現われることを知つた。2.ツギキに実生砧とサシサ砧とを使つて比較したところ, サシキ砧がよく活着し, 実生砧のものは活着率がやや低かつた。3.ビニールフイルムで簡単なビニールハウスを作つて湿気を保たせたものと, 普通のヤリ方とでは, 顕著な差が現われ, ビニールハウス内のものは55%であつたのに, 開放状態のものは, わずかに4%に過ぎなかつた。
- 日本森林学会の論文
- 1956-08-25
著者
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