東北地方の薪炭林用樹種としてのクヌギについて
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概要
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落葉広葉樹中で薪炭材として最も優秀なクヌギについては温帯南部以南ではその造林は決して困難でないので却つてクヌギについての纏つた研究にかけており, また他方その天然分布北限以北の東北地方では造成の歴史も比較的新しく, その造林が必ずしも容易でなく, また量的にも少いので従つてこれに関する調査資料にも乏しい状態である。本報文は東北地方のうち青森営林局管内(青森, 岩手, 宮城三県下)を主とし特に北地である青森県を対象として調査し, その結果に基きその東北地方における成林可能性, 造成方法, 成長度等を研究考察したものである。(1) 従来クヌギの天然生北限の定説は大平洋斜面では岩手県上閉伊郡甲子村となつておつたが, この度の調査によりそれより北約 30k の下閉伊郡豊間根村に及んでいる事が判つた。また日本海斜面では秋田県船川町となつていたが, これは植栽林らしいので天然分布北限は更に南下することとなる。(2) 青森県での養苗, 植栽実験の結果, 成長等の点においてナラ類より遥かにすぐれている事が判つた。(3) しかし若い軟弱な部分は強い寒気には耐えられないので青森県に限定すれば植栽地は, 海抜250米以下とする方が安全である。(4) また植栽後の手入が甚だ大切なのは勿論であるが, 特に東北地方では切幹等の方法により充実した強健な主軸を早く抽出させることが大切である。5) 植栽地の土壌は深く適潤な処, 土壌型はBD乃至BEで東北地方では特に日光量の多い南向斜面で地上はむしろ乾燥性の処がよいである。
- 1956-12-25
著者
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