インセンスシダー材の精油(I) : フエノール性物質について
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概要
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米国産Incense cedar (Libocedrus decurrens TORR.)の材は耐腐性が大で又特有の匂があるが, その精油成分は未だ研究されていない。鉛筆軸木用に米国から輸入した材から水蒸気蒸溜により精油を得た。収率は平均水分含量26%の材に対し0.5%。精油は大約53%の中性分, 42%のフエノール分, 5%の有機酸分から成り, フエノール分の含量の多いことは一の特徴である。フエノール分の主成分はcarvacrol及び未知のフエノール性物質である。この未知のフエノール性物質はC_<11>H_<16>O_2,b.p. 127〜128℃/7mm, d_4^<18> 1.0409,n_D^<18> 1.5258,[α]_D^<18> ±0°, benzoate m. p. 85〜85.5℃, phenylurethane m.p. 129〜131℃。脱メチルすればthymohydroquinoneを, メチル化すればmonomethyl etherを得る。本物質は2-hydroxy-5-methoxy-1-methyl-4-isopropyl-benzene或いは5-hydroxy-2-methoxy-1-methyl-4-isopropyl-benzeneの何れかと思われる。尚本物質並びにそのmonomethyl ether, carvacrol, thymolの紫外線吸収曲線を示した。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1954-10-25
著者
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中塚 友一郎
Faculty of Agriculture, University of Tokyo
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広瀬 敬之
Faculty of Agriculture, University of Tokyo