耐塩水性樹種オオタチヤナギの導入による南九州感潮域植栽の可能性
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概要
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感潮域は周期的な潮位変化に起因して形成される, 陸域・淡水域・塩水域のそれぞれの相互間の遷移帯となる多様な水域であるため, 消失が著しい近年では感潮域水辺林の再生の意義は大きいが, 潮位変化に伴う水位変動と塩水遡上が感潮域への木本導入を阻んできた。潮位変動という感潮域の多様性の源となる自然システムを許容しつつ水辺林を再生するためには, 遡上塩水による冠水に対する抵抗力が強い樹種の選定が不可欠となる。本研究では水位変動・遡上塩水濃度測定, 挿し穂による発根試験, 発芽試験等を行い, かつては南九州地域の感潮域に広く分布したと考えられるオオタチヤナギが, 種子段階から10,000(mg/L)の塩水の冠水を許容しその発根力は2〜3月で最大となる耐塩水性樹種で, 南九州感潮域への導入に最適であることを実証し, 遡上塩水濃度と植栽時期を考慮しマルチングを併用した具体的植栽方法を提示した。オオタチヤナギは南九州地域の感潮域の潜在植生的な種と考えられ, 南九州感潮域への導入には自然林再生上の意義も大きい。
- 2001-02-16
著者
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