山地小流域における養分物質の動き
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概要
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滋賀県大津市上田上桐生町の花コウ岩地帯にあるアカマツを主とした治山造林地の1小流域で養分物質の動きを調べた。1968年5月から1969年4月までの1年間, この流域で雨水・林内雨・樹幹流・落葉落枝・流出水を採集し, これらに含まれて移動する養分物質の量を求めた。1)林外雨に含まれて1年間にこの森林生態系内に流入する養分量と流出水に含まれて系外ヘ流亡する養分量を比較すると, Na, K, Ca, Mgは流出量のほうが多く, P, (NO_3+NH_4)-Nは流入量のほうが多い。またKMnO_4で酸化される有機物も流入量のほうが多かった。2)林内雨・樹幹流・落葉落枝によって1年間に林床へもたらされた養分のうち, Caは55%, Pは71%, Nは88%が落葉落枝により, Naは90%, Kは76%, Mgは63%が林内雨と樹幹流によって運ばれる。3)流出水に含まれて系外へ流亡するPとNは, 落葉落枝・林内雨・樹幹流によって林床へもたらされた量のそれぞれ13%, 4%を占める。一方, Naは約5倍, Kは29%, Caは38%, Mgは45%が系外へ流亡してしまう。PとNは他の養分に比べて土壌内にとりこまれ系内を再循環していく割合が高いようだ。4)森林生態系全体についての水の動きに伴う年間の養分の損失量および獲得量を, 土壌中の可給態養分量および年間の養分還元量(落葉落枝+雨水による樹冠からの溶脱)と比較した。系からの養分の損失量は, 系内の養分還元量に対しかなり大きな位置を占めている。
- 1973-11-25
著者
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