造林木とススキとの競合に関する研究(I) : ススキが侵入したスギ幼齢林の生育と施肥試験
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概要
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山武地方のスギ林の中には, 林内から林緑に近づくにしたがい, スギの生育が衰えている幼齢林がある。この衰えは, スギが林床に密生していることと関係がありそうなので, この関係をしらべ, さらに, このスギの生育の衰えているところに施肥・耕耘・敷ワラを施用しての回復をこころみた。1.スギの生育の衰えは皆伐跡地や隣の林分に接した15〜20mの範囲の林縁部でみられ, 衰え方は林縁に近づくほど大きい。中央部や畑地に接した林縁部では, この衰えがみられない。また, この衰えのはじまる時期は林縁に近いほど早く, 中央部に近いほどおそい。2.ススキは皆伐跡地や隣の林分に接している林縁部に密生しているが, 畑地に接した林縁部や中央部では少ない。スギの生育の衰えている範囲はススキの密生している範囲とほぼ一致している。3.林縁部と中央部との土壌は気相と液相に差があり, 林縁部が中央部に比し乾燥している。4.スギの樹高とその周囲のススキの生育との間には逆相関が認められた。5.回復試験の結果, 敷ワラの効果はみとめられず, 耕耘や施肥の効果は施行年度には顕著であったが, 次年度までは持続しえなかった。以上の結果から, この地方の林縁部のスギの生育の衰えは隣接地から侵入したススキとの水分競合の結果と考えられる。そこで, これを考慮にいれない1〜2回の耕耘や施肥等では回復させることは困難であると考えられる。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1970-02-25
著者
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