洪水危険地域の判定(I) : 洪水比流量と流域因子との関係
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概要
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利根川水系宝川流域および渡良瀬川流域内の小流域における洪水量を調査するとともに各小流域の森林状態あるいは地形的特性を調べ, これらを基にして, 洪水比流量と地形, 林況など個々の流域特性との関係を調べ, かつその各因子が占める洪水流出への影響度な検討した, 結果の大要は次のとおりである。1)宝川流域では, 一連続降水量と洪水比流量の間に相当高い正の相関関係が認められた。2)宝川, 渡良瀬川両流域とも, 森林面積率と洪水比流量の間に相当高い負の相関関係が認められた。3)宝川, 渡良瀬川両流域とも, 流域の平均傾斜と洪水比流量の間に相当高い正の相関関係が認められた。4)渡良瀬川流域では, 谷密度と洪水比流量の間に負の相関関係があるようであり, 宝川流域では逆に, 相当高い正の相関関係が認められた。5)宝川, 渡良瀬川両流域とも, レリーフレシオと洪水比流量の間に正の相関関係が認められた。6)渡良瀬川流域では平均流域幅と洪水比流量の間に負の相関関係が認められ, 宝川流域では一例では正の相関関係があり, 他の一例では相関関係が認められなかった。7)渡良瀬川流域では, 到達距離集中率と洪水比流量の間に正の相関関係が認められたが, 宝川流域では, 両者に相関関係は認められなかった。8)以上の結果から, この両流域で, 調査した降水量の範囲では, 降水量を除けば洪水比流量と相関の高い共通因子は森林面積率, レリーフレシオ, 流域の平均傾斜の3因子であった。9)前記3因子と洪水比流量との重回帰式を求め, これから算出した各単位小流域の洪水危険度順位と, この回帰式における各因子の重要度から算出した洪水危険度順位との間にはあまり差がなかった。
- 日本森林学会の論文
- 1967-06-25