日本列島の被子植物植生の染色体上の特性と, 緯度・温度・植生区分との関係についての研究
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概要
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染色体数に関する特性によって, 日本列島の植生の比較が試みられた。双子葉類, 単子葉類ともに, 倍数種率は南から北へ連続的に増大し, 植生の倍数度(平均2n/平均x)も緯度が上がるにしたがって増していることがわかった。これらの連続的な変化は, 緯度・年平均気温・温量指数などの変化と関係があったが, 北カラフト, 北海道, 北日本および西日本の4区に分けると, さらにめいりょうな染色体数による差が示された。すなわち, (1)双子葉類では北からおよそ46.7%, 37.8%, 32.2%および28.9%の倍数種を持ち, フロラの倍数度はそれぞれ3.5-, 3.1-, 2.9-および2.8-ploidレベル, また(2)単子葉類ではおよそ77.0%, 74.9%, 66.6%および56.4%の倍数種を含み, 倍数度は5.1-, 4.7-, 4.4-および3.8-ploidレベルであることがわかった。これらの数値は推定値ではあるが, 植生の変化を, 優先種の表示または北方要素, 南方要素の分布などによらず, また気候因子による間接的な表現によらず, 直接遺伝内容を示すものであり, 地域的に発達したフロラの進化の歴史を考察するのに役だつ。さらに, プロットの配置および引用植物目録の選択を計画的に行なうことによって日本列島の植生の進化および植物地理上の位置が正しく解釈されるものと期待される。結果は, アメリカ合衆国西部およびヨーロッパのデータと比較されたが, 亜熱帯から寒帯まで連続的に含まれる日本列島が, この種の研究にきわめて適していることが示唆される。
- 1967-11-25
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