林地土壌から分離した土壌細菌によるフェニトロチオンの分解
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概要
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マツ林の枯損防止のため使用された, 有機リン系殺虫剤フェニトロチオン(MEP)の土壌中での主要な減衰要因と考えられる土壌微生物, とくに土壌細菌による分解を調べ以下の結果を得た。1)MEP散布後の土壌から細菌を分離し, 分離菌のMEPに対する分解能を調べた。S4-1,2菌には強力な, H3-1,2菌には若干の分解能を認めた。液体培地中でMEP(5ppm)に分解菌を加えて培養後, 一定期間ごとにMEP残留量をガスクロマトグラフィーで測定した。その結果, S4-1菌で最少の残存率16.3%を示した。2)GC-MS測定で分解代謝物を調査し, 主要分解代謝物としてアミノフェニトロチオンが, 微量分解代謝物としてアセチルアミノフェエトロチオン, 3-メチル-4-ニトロフェノールが得られた。3)分解菌の細菌学的調査の結果, S4-1,2菌はBacillus sp., H3-1,2菌はPseudomonas fluorescensと同定した。これらの結果を基に, Bacillus属とPseudomonas属細菌で, 土壌中に普遍的に存在することが知られている土壌細菌, 9菌株についてMEPの分解を調べた。その結果, Bacillus属4菌株は, いずれも高率にMEPを分解したが, Pseudomonas属5菌株では分解は認められなかった。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1992-11-01
著者
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