イチイTaxus cuspidata S. and Z. の種子散布におけるヤマガラ Parus varius T. and S. の役割
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概要
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北海道大学苫小牧演習林において、動物によるイチイの種子散布機構を明らかにするため、種子の生産と消費について2本の調査木(I、II)を対象にして調査した。調査木Iでは36,628個の種子が、またIIでは2,785個の種子が生産された。生産された種子は、樹上では鳥類により(調査木Iで73%、IIで46%)、地上ではネズミ類により(Iでは14%、IIで34%)高い比率で消費されたが、全生産量の約5%はヤマガラの貯食行動により散布された。この5%のうち、37%は樹皮の裂目や針葉の間などの樹上に貯食され、63%が地上に貯食された。地上での貯蔵の多くは、樹木の根際や急斜面などの比較的特定の場所に集中して行われた。これらの貯食場所はイチイ稚樹の更新場所とほぼ一致していた。さらに、種子の散布距離の頻度と稚樹の分布との間には密接な関係がみられた。これらの結果から、ヤマガラによるイチイ種子の貯食散布がイチイの分散と更新にとって重要な意味をもつと考えられた。ヤマガラ以外の動物も含めて、イチイとその種子散布者の相互関係について論じた
- 1989-02-01