広域抗生物質が誘引と思われたびまん性肺出血の 1 例
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概要
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広域抗生物質が誘引と思われたびまん性肺出血の1例を経験したので報告する。症例は67歳, 女性。クモ膜下出血の手術後より意識障害がつづくためIVH管理となった。術後の感染予防のためCTMが, また, 経過中高熱出現のためCTX, SBPCがそれぞれ投与された。術後約1ヵ月後, 突然喀血し, チアノーゼが認められた。胸部X線写真では両肺にびまん性の浸潤影がみられた。気管支鏡検査では気管, 気管支全体に血液の付着はみられたが, 出血の原因となる病変は認められなかった。凝固系検査でプロトロンビン時間の延長とトロンボテストが低値であった。また, 抗GBM抗体, 抗核抗体, 免疫複合体は全て陰性であった。以上の所見よりびまん性肺出血と診断し, その原因はビタミンKの摂取不足と広域抗生物質使用による出血傾向が考えられた。酸素療法を行い, ビタミンKおよびメチルプレドニゾロン投与を開始したところ, 以後再出血はなく約1ヵ月の経過で略治した。
- 日本呼吸器内視鏡学会の論文
- 1994-01-25