腫瘍発生の場としての細気管支
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概要
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近年本邦でも肺癌の増加が著しいが、肺癌の多くが細気管支を原発巣としている。著者はまず細気管支の正常構造を概説し、ついで細気管支上皮の増生あるいは異型増殖が少なからず肺胞障害と関連していることを、肺胞障害の高度なブレオマイシン肺炎について示した。さらに肺胞障害の長期間続く原因不明のびまん性間質性肺炎について、細気管支上皮の反応性の増生だけでなく、tumorletや肺癌の合併例を示し、特に肺癌の合併は文献的にも多く注目されていることを述べた。最後に肺癌のうち文字通り細気管支と関連する細気管支肺胞型腺癌については、最近の腺癌の新知見にもとづき自験例をクララ細胞型、気管支杯細胞型、肺胞上皮型、気管支腺型に分類したが、前2者が多く、肺胞上皮型はなかった。さらに1手術例では超微形態学的にクララ細胞型であったが、その内に肺胞上皮型を示す細胞が少数混在し、今後細気管支上皮の分化という点で興味深い問題を投げかけた。
- 日本呼吸器内視鏡学会の論文
- 1981-09-01