胸部 X 線正常の気管支結核症
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概要
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胸部X線所見陰性の気管気管支結核症の臨床像を明らかにする目的で, 最近6年間に経験した本症8例(男性1例, 女性7例, 年齢55∿83歳)を対象として気管支鏡所見および化学療法効果とその後遺症について検討した。X線所見陽性(肺結核症合併)は3例8病巣, X線所見陰性は5例18病巣であった。X線所見陰性例は診断確定までに3.8∿9.4ヵ月を要しており, 小野分類による病型は第III型が11病巣(61.1%)で最も多く, 次いで第II型が6病巣(33.3%)あり, その横断面的拡がりは半周以上, 全周性が10病巣(55.6%)にみられ, X線所見陽性例との間に病型や進展度に差は認められなかった。化学療法により排菌は約2ヵ月で陰性化し, 化療後にはX線所見陰性例の10病巣(55.6%)に気管支の狭窄や閉塞を認め, 化学療法の効果とその後遺症の発症率にも差を認めなかった。X線所見陰性例の1例は, 化療後気管の2/3以上の狭窄をきたし窒息死した。胸部X線所見陰性といえども進行例が多いことは興味深く, X線所見は必ずしも本症の重症度を反映していない。早期発見のためには頻回の喀痰の抗酸菌検査と早期の気管支鏡検査の施行が必須である。
- 日本呼吸器内視鏡学会の論文
- 1997-01-25
著者
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