保存的治療により治癒した異物誤飲による食道気管支瘻の 1 例

概要

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症例は73歳女性, 多発性骨髄腫経過中に胸部異和感, 食欲不振を認めたため入院となった。入院後胃内視鏡検査を施行した結果, 歯牙より22cmの中部食道に異物を認めた。直ちに内視鏡的に異物を除去したところ, 異物はムコスタ^[○!R]の薬剤包装容器であった。また, 摘出後に潰瘍を認めた。1週間後の胃内視鏡検査にて潰瘍は瘻孔に進展している疑いが認められたため, 気管支鏡検査を行った。その結果, 左主気管支入口部の膜様部に瘻孔を疑う所見を認めた。胸部CTにて食道気管支瘻を確認したが, 胸水や明らかな縦隔炎の所見は認めなかった。以上より, 異物(薬剤包装容器)誤飲による食道潰瘍から食道気管支瘻を来たしたと診断した。絶飲食, 中心静脈栄養, 抗生剤等の保存的治療にて経過を観察した結果, 瘻孔は閉鎖した。食道気管支瘻は手術が第一選択であるが, 本症例のように保存的治療にて治癒する場合もありうると考えられた。また高齢者の場合, 薬剤の誤服用から食道気管支瘻を来す場合もあり十分な注意が必要と考えられた。
日本呼吸器内視鏡学会の論文
1996-01-25