特発性肺線維症におけるTGF-βII型受容体の変異の検討(びまん性肺疾患に対する分子生物学的アプローチ : 間質性肺炎から肺気腫まで)(第24回日本気管支学会総会)
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概要
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Transforming growth factor(TGF)-βは特発性肺線維症の病態形成に重要な役割を果たしているが, in vitroでは肺胞上皮細胞の増殖を抑制する。一方, 特発性肺線維症の組織学的特徴の1つである肺胞上皮細胞の過形成病変に対しては, これまでほとんど解析されていない。肺胞上皮細胞の過形成がTGF-βの制御から逸脱したためではないかと仮定し, その機序の1つとして既に報告のあるTGF-β II型受容体(TβR II)のexon3に存在するmicrosatellite部位における欠失の検出を試みた。特発性肺線維症患者の組織標本上からmicrodissection法によって細胞を抽出し, 得られたDNAを鋳型としてnested PCR法を用いて増幅し検出した。その結果, IPE 11症例の肺胞上皮過形成病変121ヵ所の中で5症例9ヵ所に変異を認めた。また壁の肥厚した肺動脈にも一部で変異が確認された。TβR IIに対する免疫組織染色ではTβR II遺伝子の欠失が確認された肺胞上皮の部位で染色性の低下を確認した。肺胞上皮細胞過形成の一部の病変については, TGF-βによる上皮細胞の増殖抑制作用から逸脱することによる過形成である可能性が示唆された。
- 日本呼吸器内視鏡学会の論文
- 2001-12-25
著者
-
林 清二
大阪大学大学院医学系研究科分子病態内科学
-
森 雅秀
大阪大学大学院医学系研究科分子病態内科学(第3内科)
-
森 雅秀
刀根山病院内科
-
船越 俊幹
大阪大学大学院医学系研究科分子病態内科学
-
西野 和美
大阪大学大学院医学系研究科分子病態内科学
-
森下 裕
大阪大学大学院医学系研究科分子病態内科学講座
-
森下 裕
大阪大学 大学院 医学系研究科 分子病態内科学講座
-
森下 裕
大阪大学大学院医学系研究科分子病態内科学
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