企業経営においてITがもたらす価値 : 評価と実践の指針(AI応用)(<特集>人工知能分野における博士論文)
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概要
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本論文では,「IT経営」を「企業経営においてITを有効に利活用するための統合化された組織活動」と定義した.そして,IT経営を改善させるための実践的な指針を提示すべく,IT経営のメカニズムの一部を理論的に解明することを目的とした.第1に,企業内のIT経営の因果構造を解明した.そのため,仮説検証と探索的な方法を用い,日本の大手企業へのアンケート調査に基づく「IT経営度調査」を行った.509社から得たデータを分析した結果,経営トップのIT化に関する意識と行動が,企業のIT化の仕組み(経営とITの連携,IT構築力,将来への備え)に影響し,IT投資・装備と相まってIT経営効果を創造するメカニズムを明らかにした.第2に,企業間のIT経営の優劣を評価するための総合尺度「IT経営度」,および,IT経営への取組み方の違いを示す「IT経営型」について,統計的方法を用いて開発した.これらの指標はIT経営の他社比較(ベンチマーキング)を可能にした.「IT経営度調査」のデータを分析した結果,電子・電気業を含むIT系の業種は他業種に比べて評価が高く,企業規模が大きいほど評価が高いことなどが判明した.第3に,顧客を起点にした競争環境とIT経営を俯瞰した概念枠組み「3C-DRIVE」を構築した.この枠組みにエージェントベースシミュレーションを適用した結果,競争環境の変化に適応したIT経営のスタンスが,ITによってもたらされるビジネス価値の拡大に貢献することを確認した.
- 社団法人人工知能学会の論文
- 2005-01-01