自由記述アンケート回答の意図抽出および自動分類に関する研究 : 要求意図を中心に(自然言語)(<特集>人工知能分野における博士論文)
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概要
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本研究の目的は,さまざまな立場の発言者による意見から,意図を抽出し,その情報をもとに意見をさまざまな観点で分類することである.このため,自由記述アンケートの回答テキストをコーパスとして最大エントロピー法を確率的言語モデルとする機械学習手法を用いる.この処理精度を高めるために,特に要求意図に着目し,学習データの作成時に言語的な言い換えを用いた判定を行うことによって学習データの質を向上させることを提案する.このため,着目する回答文が典型的な要求表現「てほしい」を含む形式に言い換え可能であるかどうかにより判定できることを仮説とした.この仮説としての判定基準の妥当性を検証するために,内容分析(content analysis)の知見を踏まえて予測的妥当性,再現可能性,相関的妥当性の三観点から検証を行った.予測的妥当性の検証に対する考察から,従来の言語学的知見よりも網羅性の高い要求表現が得られることがわかった.また,再現可能性の検証からは複数の作業者間において判定結果に妥当な一致率が見られたこと,また相関的妥当性の検証からは判定基準を用いずに要求判定をする場合よりも用いた場合のほうが作業者間で高い一致率が見られたこと,これらにより基準の有効性を示すことができた.さらに判定基準と自動分類を統合し,基準を用いて作成した学習データによる機械学習手法の実験を行うことにより91%の精度で要求か否かを判定できた.
- 社団法人人工知能学会の論文
- 2005-01-01