工業製品の欠陥検査を行うマハラノビス・タグチ法に関する研究(基礎・理論)(<特集>人工知能分野における博士論文)
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概要
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工業製品の欠陥検査用データは,データの取得時に生じる多くの誤差を含む.従来の自動品質管理システムでは,この誤差が原因となり正常品を欠陥品と判別する誤り(第一種の過誤)や欠陥品を正常品と判別する誤り(第二種の過誤)が生じていた.Mahalanobis-Taguchi Strategy(以下,MT法と略す)は,有意な検査項目を用いてマハラノビス距離を算出し,データ内の誤差を許容しつつ正常品・欠陥品の評価を行う.ここで,有意な項目の決定およびマハラノビス距離を用いた正常品・欠陥品の判別は検査員の判断に依存して行われる.判別精度の向上を図る際には,検査員により一層の負担を強いることになる.本論文では,検査員の負担を増大させることなく第一種および第二種の過誤を抑制すべく,基準空間生成法およびしきい値設定法をMT法に対し導入する.基準空間生成法は,多数の検査項目に対する有意・非有意の判定を行う.その際,各項目の効果に加え,二項目間の組合せ効果を推定している.これにより,第二種の過誤を抑制する検査項目の組合せを実現できる.しきい値設定法は,マハラノビス距離上の正常品・欠陥品を判別するしきい値を設定する.その際,しきい値以下のマハラノビス距離を示す正常品の累積確率をガンマ分布により推定している.これにより,第一種の過誤を抑制するしきい値の設定を実現できる.基準空間生成法・しきい値設定法を導入したMT法の有効性は,正常品・欠陥品のサンプルの判別により検証される.基準空間生成法が第二種の過誤を,しきい値設定法が第一種の過誤を抑制し,両手法を導入したMT法が第一種および第二種の過誤の双方を抑制することが示される.
- 2004-01-01
著者
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