人物像の歩行動作生成に関する研究(画像処理)(<特集>人工知能分野における博士論文)
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概要
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本研究は, 計算機内に構築された3次元仮想環境に合致する人物像の歩行動作を自動生成するコンピュータアニメーション手法とその実現に関するものである.本研究は, 動力学計算と補間法とを組み合わせて複雑な多関節構造体である人物像の歩行動作の定式化を試み, さらに計算の効率化を行うことによって, 階段などを含む複雑な地形に合致する人物像の自然な歩行動作を, 効率的かつ高速に自動生成することを実現した.第一の特徴は, 任意の3次元経路に沿う歩行動作の自動生成の実現である.歩行経路を一歩ごとに分割して運動方程式を立て, 関節角度の時間変化を記述する手法を構築し, さらに, 方程式を直進, 回転, 腕運動の各運動に分離し, それぞれの運動を生成した後に融合することで, 3次元歩行経路への合致を可能とした.第二の特徴は, 動作生成・表示の効率化である.動作生成の方程式に床反力を近似した解析関数を用いることで, 計算の高速化・安定化を実現した.また, 多人数の歩行を生成する際に, 各人物像を運動の更新周期の異なる複数のグループに分類して生成することで, 自然さを損なわずに全体の計算時間を減ずることを可能とした.第三の特徴は, これらの成果を応用して実際にアニメーションシステムを構築し, さまざまなコンテンツ制作への適用を行ったことである.本研究により, 現実味のある映像コンテンツや3次元シーンを効率良く容易に制作することが可能となった.
- 2001-11-01