形式言語の帰納的学習 (<特集>計算学習理論の進展と応用可能性)
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概要
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形式言語の学習理論に関する研究は, 計算論的学習理論と名のつく研究分野が定着する以前から始まる. そこでは, 肯定的な結果もあれば否定的結果も存在したが, いずれにせよ言語(文法)の学習という知的活動に対する数理的理解の着実なる前進の歴史であったといえる. さて, コンピュータ(機械)が学習するということに対する明確な定義の一つをValiantは次のように与えている [Valiant 84]:「コンピュータにプログラミングによって陽にプログラムを与える以外の方法によって, コンピュータがプログラムを獲得すること」. さらにこのような機械学習において, 帰納的推論とは, 「与えられた個々の事実から一般的な規則を導き出す推論」と定義される. これを本稿の主題である形式言語の帰納的推論(文法推論)に当てはめてみると, 「言語の正しい例(言語に属する文, 正の例)と正しくない例(言語に属さない文, 負の例)から, その言語の文法規則を, 陽にプログラムとして与えることなしに, 獲得すること」となる. 本稿では, 正則言語と文脈自由言語の学習研究に焦点を絞り, 最新の成果をまとめて解説する. 正則言語も文脈自由言語も正負の例を用いるだけでは効率良く同定することは困難であることが知られている. そこで, まず最初にこの困難に立ち向かうために, 種々の最適化問題で実際的な成功を収めている遺伝的アルゴリズムを適用する意欲的な試みを紹介する. 次に, 正例からの正則言語の学習とその周辺に関する最近の理論的進展について報告する. そして最後に, 文脈自由言語と正則言語の学習アルゴリズムを遺伝子情報解析に適用した応用例を紹介する.
- 社団法人人工知能学会の論文
- 1999-09-01
著者
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