製品概念形成支援に関する研究 : 連想に着目したブランド・アイデンティティ構造化技法に基づく戦略的アプローチ
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概要
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本論文は, マーケティング分野での製品概念形成に対する有益な計算機支援に関して, モデルおよび方法論を提案し, システムの構築と実証を行ったものである.良い製品概念を形成するには, 消費者のニーズや嗜好といった元来明確な形をとらない情報を把握し, かつ開発側の戦略意図を盛込む必要があり, 定式化するのが難しく, 支援が待たれていた.本論文は9章からなり, 第1章の序論に続いて, 第2章では戦略的アプローチを取り入れた一般的な概念形成支援のモデル「戦略的な思考の外在化モデル」を掲げ, 戦略顕在化過程と概念形成過程を分離させ, それを交互に繰り返すことでユーザーの発想を刺激しながら解に近接していく手法を提案する.続く第3, 4章で総合活動支援分野, マーケティング分野の従来研究の概要を述べ, 本研究との位置付けを明確にする.第5章で, i)製品概念にはValue, Benefit, Attributeの3層から成るブランド・アイデンティティ(BI)という理念を用いる, ii)単純なエキスパートシステム様の方法を用いてユーザーの概念・目標に基づく戦略をトップダウン戦略としてBIに反映させる, iii)対話型進化計算法を用い, 高い購買意向をもたらす製品属性の組合せをボトムアップ戦略としてBIに反映させる, といった製品概念形成に特有のモデルを提案し, 2章で提案している手法を具体化している.第6章では構築したシステム, BICSSについて詳細に論じる.第7, 8章では, それぞれビール, 陶磁器という2つの実問題に対してBICSSを適用した実験を行い, 有効性を確認している.第9章は結論を取りまとめ, 今後の課題を論じている.
- 社団法人人工知能学会の論文
- 2000-11-01
著者
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石野 洋子
ライオン(株)市場情報部:東京大学先端学際工学専攻博士課程在学中
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石野 洋子
University of Southern California, Aerospace & Mechanical Engineering, Research Associate
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石野 洋子
University Of Southern California Aerospace & Mechanical Engineering Research Associate