極低出生体重児における血清中KL-6値の測定意義 : 慢性肺疾患と非慢性肺疾患の比較
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概要
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新生児呼吸窮迫症候群(respiratory distress syndrome, RDS)を発症した極低出生体重児75例の血清中Krebs von den Lungen-6 (KL-6)を出生時から生後3ヵ月まで1ヵ月毎に測定した.また, 新生児慢性肺疾患(chronic lung disease, CLD)を発症したCLD群25例と発症しなかった非CLD群50例にわけて比較検討し, CLDにおける血清中KL-6測定の臨床的有用性について検討した.出生時の血清中KL-6値は在胎週数と出生体重に影響されずほぼ一定で, 基準範囲は55∿160U/ml(中央値102)/105±53U/ml(平均値±1.96SD)だった.また出生時の血清中KL-6値はCLD群と非CLD群で有意差は認めなかったが, 両群とも出生時から生後1ヵ月にかけては有意に上昇し(p<0.0001), 生後1ヵ月時の血清中KL-6値はCLD群が220.2±15.7U/ml(平均値±SE)で非CLD群の147.6±6.1U/mlに対して有意に高値を示した(p<0.0001).ROC曲線から得られた生後1ヵ月のCLD発症診断のカットオフ値は178U/mlで感度76%, 特異度82%であった.RDSを発症した極低出生体重児における生後1ヵ月での血清中KL-6値>178U/mlはCLD発症の客観的指標となり, 診断の補助として有用であると考えられた.
- 2005-02-28