煙草・モザイク病の細胞學的研究 第II報
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概要
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1. 花粉形成細胞, 花粉母細胞並びに花粉に於ては X-body が見られるが, 減數分裂中には見られない。減數分裂は異常なく行はれ正常な四分子が形成される。減數分裂の第1, 第2分裂の中期には夫з24個の染色體が觀察された。 2. モザイク植物及び健全植物から得た花粉中には夫з11.09%及び11.66%の退化花粉が見られた。5%の葡萄糖を含む寒天培養基上にて發芽試驗を行ふに, 外觀上健全な花粉の内, 健全植物より得たものでは47.56%が不發芽で, 病植物より得たものは36.20%が不發芽であつた。 3. 健全植物及び罹病植物の自花受精及兩者間の交配によつて得た種子を檢するに比較的多數の粃を混じて居る。然しこれは病植物の花粉又は胚子の異状によるものとは考へられない。叉 KOSTOFF の報じた様な雌性による不稔は見られなかつた。 4. 病葉の汁液を熱處理によつて毒性を無くし接種すると, X-body は出現しない。0.05%のモリブデン酸アンモニウムを含む塚田・西山氏液に煙草を培養すると3日後には萎凋を來し, 細胞質中に澤山の顆粒が出來, 之は次第に凝集して X-body 様のものとなる。乳酸を同じ濃度に加へたものでは7日目に萎凋し細胞質の凝周を來す。0.05%の乳酸又はモリブデン酸アンモニウムを含む液では細胞の變化は認められない。0.001%の沃度加里又は沃度曹達を含む液では1ケ月後に於ても細胞内の變化が見られなかつた。本研究は徳川生物學研究所に於て行はれたものであつて, 同所長理學博士服部廣太郎先生に感謝の意を表する。
- 日本植物病理学会の論文
- 1936-11-10
著者
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