馬鈴薯疫病菌の感受体侵入に就いての位相差顕微鏡及び偏光顕微鏡による観察
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概要
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Phytophthora infestansの遊走子を疫病に抵抗及び罹病性の馬鈴薯葉中肋部に接種し, 一定時間毎に表皮をうずくはぎ取り位相差顕微鏡で観察したが, 抵抗性品種では侵入部附近にミトコンドリヤと考えられる顆粒が集合し原形質糸の出現が認められた。同様の材料を偏光顕微鏡下で観察した所, 強抵抗性品種では侵入部を中心として強い複屈折が認められた。この複屈折は細胞膜のそれとは質的に異り褐変を示さない組織にも拡り, 消光角は45°である。又アルコール処理で強くなり濃グリセリンで脱水すると細胞膜自身の複屈折の為に打消される。予め2, 4ヂニトロフェノールで組織を処理してから遊走子を接種するとこの複屈折の出現は遅れるか又はその程度が弱められる。以上の事から疫病菌侵入により強抵抗性品種の細胞内でミセル構造の変動が起り且つ之は組織の代謝活性と関聯性があるように考えられる。
- 1957-11-30