インドール酢酸とイネ・カルス組織の培養〓液との組合わせによるイネ白葉枯病菌の生育阻害
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概要
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イネ・カルス組織を4品種のイネの芽生えより誘導した。イネ白葉枯病菌を被験菌とし, インドール酢酸を含んだ平板培地上で試験すると, これらのカルス組織はその培養時に, この細菌に対して抗菌性をもつ高分子性の成分を培地中に分泌することが認められた。カルスの培養に用いたMurashige-Skoog培地への各種植物ホルモンの添加が, カルス組織の生育とこの抗菌性成分の分泌に対して如何に影響するかを, カルスを3週間27Cで培養した後に調べた。品種金南風及び黄玉のカルス組織は植物ホルモン(IAA, 2, 4-D, NAAあるいはkinetin)の低濃度(0.05ppmあるいはそれ以下)を添加した時, 比較的少量の抗菌性成分を分泌した。より高濃度(0.5ppm〜20ppm)の2, 4-Dを加えた培地で培養した場合, 金南風及び黄玉カルス組織の培地中に見出される抗菌活性は増大し, Te-tep及び早稲愛国3号の培地中に見出される抗菌活性と同じ程度になった。一方, Te-tepあるいは早稲愛国3号種からの活性成分の分泌は低濃度(0.05ppmあるいはそれ以下)の植物ホルモンを加えた培地で生育した時でさえも比較的多く, 大抵の場合金南風あるいは黄玉からの分泌量の10倍から100倍に達した。この抗菌成分は分子量約32,000の高分子性物質であること, Mn^<++>をcofactorとして要求すること, monohydric phenolの添加によって活性が増大すること等の理由からIAA酸化酵素の一種と推定された。
- 日本植物病理学会の論文
- 1979-07-25
著者
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