薬剤耐性菌の出現を考慮にいれた,チオファネートメチル剤によるダイズ種子の紫斑病の防除適期
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概要
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薬剤散布後の種子の感染状況を未熟な発育段階から定期的に調査し,感染阻止状況からチオファネートメチル水和剤の散布適期を決定した。ダイズ開花時の散布は薬効が持続する期間種子の感染を予防するが,薬効が消失すると感染種子は急増した。一方,開花後30日から50日の期間内の散布は,成熟期まで種子の感染を予防するとともに,すでに感染している種子では内存する菌を死滅あるいは病徴発現に必要な菌量以下に生育を抑え,成熟期における発病(紫斑発現)を阻止した。しかし,開花後70日の散布では,すでに一部の種子で発病が見られ,散布時期としては適切でなかった。以上のことから,本剤をダイズ開花後30日から50日の期間内に1回散布すれば発病がきわめて低率に抑えられることが明らかになった。チオファネートメチル剤のダイズ生育期の6回以上の散布により,本剤に対する耐性菌が出現した。耐性菌による種子の発病は,本剤の散布によって抑制することができなかった。本剤や本剤と交叉耐性を示すベノミル剤は,本病に対しきわめて優れた防除効果を示す。しかだって,これらの薬剤の散布は散布適期内の1回に止め,薬剤耐性菌の出現を抑制することが大切である。
- 1999-10-25
著者
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