並列lispによるXウインドウ・システム・インタフェイスの実現
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概要
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ウインドウ環境において,カスタマイズ可能なインタフェイスを構築することは,ウインドウ・システム自体の使いやすさを向上させ,インタフェイスの統一・プロトタイピングを可能にするという点で重要である.本論文では,並列lispを用いてXウインドウ・システムのインタフェイスを構築する方法を提案し,並列lispによるXウインドウ・アプリケーションの記述に考察を加え,Xサーバと通信を行う機能を持つ並列lisp処理系PiXeLの実現について述べる.さらにウインドウ・マネージャLWMをPiXeL上に実現し,柔軟なウインドウ・インタフェイス構築の一方法を示す.PiXeLは単一のUnixプロセス内で複数のスレッドを生成して,それぞれのスレッドに独立してS式を評価させることで並列性を実現している.スレッドの生成は明示的に指定して行う.deep bindingを用いることで,多重環境を自然に表現し,親スレッドから子スレッドヘの環境の継承も環境の部分共有によって実現している.Unixプロセス内で並列動作を行うので,スレッド間でデータの共有ができ,構造を保ったままでデータを受け渡すことができる.環境の部分共有によってスレッド間で値を受渡しするほかに,メッセージを用いたスレッド間通信も実現している.PiXeLで記述したウインドウ・マネージャLWMでは並列実行を生かして非同期的に起きるイベントに対処し,柔軟なインタフェイスを実現している.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1990-03-15