計算誤差による暴走のない図形演算アルゴリズム : スペースモデルによる実現
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概要
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計卵誤差により図形演算プログラムが暴走する問題は,従来から図形処理における大きな未解決課題とされていた.これに対し,従来普通には「非常に接近した図形要素は同一点を占めている」とみなす対策が行われていた.しかしこれはある場合にはかえって暴走の原因となり,対策として不完全であった.本論文ではスペースモデルにより図形のトポロジーを表現し,「どんなに接近した図形要素も,たとえ両者の座標値が等しくなっても,トポロジカには同一点とは考えない」手法を採り,トポロジーに矛盾が起きないようにデータ構造を生成する,新しい対策法と実験結果につき述べる.座標値よりトポロジーを優先したこと,図形の正しさは追及せず,トポロジーが矛盾しないことを条件としたこと,スペースモデルを使うことで起こり得る形状の種類が限定でき,すべての場合の列挙が可能になったこと,などが本方式のキーポイントである.スペースモデルによれば,二次元・三次元,注目,局所集合演算,運動図形の衝突検出,等,多彩な機能が平均的にO(1)の対話速度で実現できるが,本方式により本質的に高信頼度が得られ,実用化の基礎を固めることができたと考えられる.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1990-01-15