計算機の性能指数と価格
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概要
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計算機の価格と性能の関係について,昔からGroschの法則として知られていたスケールメリットは,量産される半導体の比重が高まるにつれて成り立たなくなったものと直感されているが,データに基づく検討はされていなかった.一方,最近Ein-Dor などは,計算機を価格範囲で分類すれば,それぞれの範囲内では依然Groschの法則が成り立つと報告しているので,この検討を行った,性能の表示については,Ein-Dorなどと同じく,ComputerworldのR.P.あるいはMIPS値を用いたが,計算機の分類は各グループが同一アーキテクチャ,同一メーカの単一製品系列になるようにし,各系列内での価格・性能の関係を求めた.検討の結果,1970年代後半からは性能は価格にほぼ比例し,スケールメリットは存在しないことが明らかになった.この変化の原因について論じ,量産される半導体部品の影響と推定した.Ein-Dorなどの誤った結論は,計算機群をアーキテクチャには無関係に,価格範囲によって機械的に分類し,価格・性能の関係を求めようとしたことにある.R.P.やMIPS値をアーキテクチャの異なる計算機の性能比較に適用することは,これらの指数の性質上,ほとんど無意味であり,かつ危険である.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1988-05-15