(51)シロイヌナズナとウリ類炭そ病菌を用いた非宿主抵抗性機構の解析

概要

論文の詳細を見る
ウリ類炭そ病菌はキュウリなどのウリ科植物に対して強い病原性を示すが,非宿主植物であるシロイヌナズナに対しては全く病原性を示さない.我々はこのウリ類炭そ病菌とシロイヌナズナを用いて炭そ病菌に対する非宿主抵抗性機構の研究を行っている.ウリ類炭そ病菌をシロイヌナズナに接種した後,その感染行動を観察した結果,本菌は宿主植物上と同様にメラニン化した付着器を形成した.しかし,付着器からの侵入菌糸の形成は見られなかった.したがって,本菌は付着器形成後の侵入の段階で感染が阻害されていることが示唆された.さらに,シロイヌナズナ本葉に傷をつけ,その傷口に接種した場合でも病斑は形成されなかった.また,非宿主抵抗性機構に関与する植物側因子の同定を目的として,シロイヌナズナのアクセッションCo1-0に対してEMS処理を行った突然変異体ライブラリー(M2植物)からウリ類炭そ病菌に罹病性を示す変異体を選抜している.現在,1次選抜後に自殖させて得たM3植物において,本菌への罹病性を示した変異株が2株分離されている.
日本植物病理学会の論文
2003-02-25