(50)和歌山県ウメ生育障害の発生に対する病理学的一考察
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概要
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筆者はウメの実生苗を侵すFusarium sp.,Pythium sp.,Rhizoctonia sp.を病原菌として既に報告した.今回,現地で栽培する苗('南高','白玉')を用いて再度接種を行い,2年間発病推移を観察した.両品種とも接種初期には地上部の葉の黄化,矮小化,新梢の発生が少ないこと等現場でみられる症状を再現したが,それらの根をみると'白玉'は側根,細根は全くなく,'南高'では接種初期に黒変した根の側から健全根が発生し,現場の重症樹でみられる黒根は再現できなかった.そこで,現場で生育障害と診断された樹の根を精査したところ2〜3割の樹の根から白い菌糸束がみられ,白紋羽病と判断された.従来,生育障害と診断していた病徴の中に白紋羽病が混在することが明らかとなり,ナシ白紋羽病菌をウメ苗に接種した.接種後1週間位から葉芽や新梢の出現が少なく,接種3ヶ月後の10%接種区では地上部が捲葉,萎凋を示し,その樹の若い根は黒色化していた.今後,白紋羽病菌に焦点を当て現場の生育障害への関与,位置づけならびに根の再生との関係を明らかにしていきたい.
- 日本植物病理学会の論文
- 2003-02-25
著者
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