ポスト・フォーディズム時代における大企業の地理学 : 製造業大企業の生産体制と立地変動に関する近年の研究を中心に
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概要
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1990年代以降,グローバリゼーションが進展し,情報技術の浸透もみられるなど,大企業をとりまく経済環境は激動している.大企業の地理学的研究においても,新たな経済環境を視野に入れた,いくつかの注目すべき研究動向がみられる.本稿はポスト・フォーディズム時代における大企業の地理学を展望した.製造業大企業の生産体制と立地変動の理論および実証に関わる研究動向をフォローすることによって,次の3点から研究潮流をまとめた.第1に,経済地理学における企業概念の再検討である.経済学など隣接諸科学の企業論の進展から影響を受けて,従来の様式化された大企業の概念を再考する動きがみられる.第2に,製造業大企業における階層的立地の変容をめぐる研究動向である.企業組織における垂直的な階層構造から多様な組織形態へという変容を受けて,複数工場制企業の新たな立地調整,マザー工場への政策的提言や分工場経済の再評価について研究の蓄積がみられる.第3に,経営戦略や企業文化の視点を導入した研究である.大企業の立地行動に関する意思決定を社会経済的な文脈から解釈することを特徴としており,その背景には経済地理学における文化的転回の影響がある.
- 経済地理学会の論文
- 2004-09-30
著者
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