グローバリゼーションの理論化 : 経済地理学の展望(<特集>新時代における経済地理学の方法論)
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概要
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本論文は,グローバリゼーションに関する議論を整理するとともに,経済地理学がそうした議論にいかに貢献しうるかを明らかにしようとするものである.まず始めに,雑誌Economic GeographyとEnvironment and Planning Aに掲載された論文を中心に,1970年代以降のグロバリゼーションに関する研究動向を整理した.その結果,70年代・80年代には,脱工業化,直接投資,国際貿易,地域経済の変化といった具体的な分析,ミクロな分析が中心であったが,90年代以降は,社会や制度や政治に力点を置いた切り口や抽象的な概念での議論が増えてきている点を指摘することができる.こうした研究動向に対して,我々はむしろ空間の多元的観点に立って,空間的相互関係に研究の焦点を当てていく方向に回帰すべきだと主張したい.また,アングロアメリカのコンテキストのみにとらわれず,他の世界での経済地理学理論・実証研究の成果を考慮に入れ,グローバリゼーションに関する議論において比較研究の重要性を強調したい.
- 経済地理学会の論文
- 2003-12-30