寡占的アグリビジネスにおける企業戦略の変化とその要因 : 雪印乳業(株)を事例として
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概要
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本稿は,寡占的アグリビジネスおける企業戦略の変化とその要因を,工場の空間的配置や企業組織の編制原理に着目して明らかにした 雪印乳業(株)の配置は,北海道における乳製品工場のトミナント配置→市乳工場の全国網羅的な分散配置→集中量産工場の少数配置と変化してきた これは,事業の外延的拡大から規模の経済性の追求へと,企業戦略か根本的に転換されたことに対応していた また,企業組織の編制原理についても,約10年おきに大幅な見直しか繰り返されていた これは,機能別事業部制の導入によって得られる規模の経済性と,地域別事業部制の導入によって得られる範囲の経済性とを比較し,その時代の企業戦略を実現するのに最も有効な企業組織を模索した結果たった 雪印乳業(株)か,企業戦略を頻繁に見直した最大の理由は,輸送技術の発達に伴う原料特性の変化たった この変化は,飲用向け生乳の弾力的な広域受乳によって生乳調達コストを節減する戦略や,基幹工場での集中量産化によって規模の経済性を追求する戦略の採用を可能にした さらに,販売チャネルの大型化や指定団体制度の導入も相まって,生乳生産と飲用牛乳消費との地理的乖離か顕在化した結果,主要業務が完結する地理的範囲は大きく変化した 雪印乳業(株)か,企業組織の再構築や工場配置の再編成を繰り返したのは,こうした外部環境の変化に対応して,最も効率的な事業展開と迅速な意思決定を実現するためたったと言える
- 2003-09-30
著者
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