製販統合型アパレル企業の生産・流通体制
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概要
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本稿は,(1)アパレル産業において製販統合の動きが見られる要因,(2)製販統合型のアパレル企業が持つ生産・流通体制の特徴,(3)製販が統合されることによる生産・流通への地理的な影響,の3点を明らかにすることを目的としている.製販統合型アパレル企業(SPA)に対する実態調査の結果は,次のように整理することができる.アパレル産業特有のマーケットリスクを回避する方法の1つが製販統合であり,その生産・流通体制の特徴は,販売計画量の全てを期首に生産せず,販売実績を見ながら柔軟に期中生産を行うことで在庫処分などのロスを削減する,いわゆる生産の「延期」化に求められる.当初在庫に対する補充生産を意味する期中生産では,発注から納品までのリードタイムがとりわけ重視される.このため,期首生産と期中生産とで生産地を切り替えるなど,産地の選択条件も複雑化している.現時点では,期首生産に関しては生産コストの低いアジア諸国などの海外産地が,期中生産に関してはリードタイムの点で有利な国内産地がそれぞれ重視されているが,後者が海外へシフトする可能性も残されている.こうしたSPAの生産・流通体制の浸透は,国内の生産地に影響を与えるものと予想される.
- 経済地理学会の論文
- 2003-06-30
著者
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