愛知県における救急医療サービスの空間的供給システム
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
救急医療は生命に関わる特殊なサービスであり, 時間帯を問わずに住民に等しく供給されることが要請されている. このため, その空間的供給システムは中心地理論によって説明される通常の医療サービスの供給システムとは異なる. このシステムの理念型は, 3種類の供給形態と3段階の医療レベルの組み合わせとして捉えられる. こうした理念型は, 愛知県において実際に見出すことができ, 同県では救急告示体制と第1〜3次救急医療体制の2本立てでサービスが供給されている. 在宅当番医制と休日夜間診療所による第1次救急医療の対応は, 地域によって異なる. 在宅当番医制による平日夜間の診療は内科, また休日昼間は外科を主体とするが, 医師の負担感から休日夜間診療所による対応へと移行しつつある. 休日夜間診療所は主に休日昼間に開設されており, その中心は内科と小児科である. 第2次救急医療は県内に15ある第2次救急医療圏ごとに当番方式で実施されており, また第3次救急医療はより広い地域を対象として運営されている. 救急医療情報システムは, 救急医療機関の応需状況を案内するシステムである. 住民からの問い合わせ割合には地域差があり, 第1次救急医療体制が不十分な地域や, 休日夜間診療所が充実している地域では多くない. 逆に, 第1次救急医療体制は十分でないが近隣がこの体制に恵まれている都市地域, あるいは在宅当番医制が広報などで十分周知されていない地域では, 問い合わせが多い.
- 経済地理学会の論文
- 1998-09-30
著者
関連論文
- コメント 2([大会シンポジウム]グローバル化時代の大都市-東京(圏)に焦点をあてて-,経済地理学会第55回(2008年度)大会)
- 愛知県における救急医療サービスの空間的供給システム
- Daniels, P.W. : Service Industries in the World Economy; Blackwell, 1993, xiv+210 pages, ダニエルズ:世界経済におけるサービス業
- 森川洋著 : 中心地論(III)
- 産業構造の高度化と都市システムの変化
- ベリー=ギャリソンの中心地理論の再検討
- 都市内商業中心地システムの発展・変化モデル
- 岐阜地域における小売業の地域的分布と消費者の購買行動
- K.S.O. ビーボン著 : 中心地理論 : 再評価
- 名古屋市における小売業の地域的分布とその推移