マレーシアにおけるインフラストラクチャーの整備と企業立地
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概要
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本稿は, マレーシアの工業団地に立地する企業に対し, インフラストラクチャー整備に関する評価を探るために実施したアンケート調査をもとに, インフラ整備および工業団地開発と企業進出とのかかわりを考察したものである. マレーシアでは1969年に発生した人種暴動の後, 新経済政策が実施された. 当時の課題として地域間格差の是正が掲げられ, その手段の1つとして, 工業団地を全州に建設するという工業分散戦略がとられた. それまで工業団地をはじめ, 各種のインフラストラクチャーは半島マレーシア西岸部に偏在していたため, この戦略により偏った地域構造は改善するかに見られていたが, 主要な高速道路, 港湾, FTZなどは既存のインフラ体系に沿って整備が進められた. 同国では1994年に南北高速道路が全通し, これによりマレーシア国内はもとより, シンガポールを含んだ形で, 地域間, 企業間ネットワークの形成が可能になった. 1986年以降, 外国資本に対する出資規制が緩和され, 外資系企業がマレーシアに進出した. その多くは半島西岸の高速道路周辺に位置する工業団地に立地している. これらの企業はこうしたインフラの整備を, 低賃金労働力, 政治的安定, 投資インセンティブと並んで重要な進出要因の1つとして評価している. そして, この外資系企業がマレーシア工業化の牽引的役割を果たしている.
- 1998-03-31