新興自動車工業地域における自動車1次部品メーカーの生産展開 : 九州・山口地域を事例として
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概要
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わが国自動車産業の生産システムは, 自動車メーカーと多くの部品メーカーからなる階層的企業間分業構造を特徴とし, 効率的生産体制のもと, めざましい発展を遂げてきた. 本研究では, わが国新興自動車工業地域にあたる九州・山口地域に立地する日産系・マツダ系1次部品メーカーの工場に焦点をあて, その立地, 生産構造, 取引状況, JIT方式による納入状況を詳細に考察し, これらの工場の特色とともに, 当該地域の特色を解明しようとした. 九州に立地する日産系1次部品メーカーの工場の生産規模は, 全国的生産体制において相対的に小さい. しかし, 関東地方の既存工場からの生産移管を行い, 徐々に生産の自立性を高めてきている. なお, これらの工場は, 既存集積地から遠隔に立地していることにより, 特定の部品製造に特化せず, 日産九州工場へ納入する各種部品の(最終)工程を担う傾向にある. 一方, マツダ系1次部品メーカーの山口県内への進出工場の多くは, 広島県内の既存工場群に匹敵する生産規模をもつ. これは, 進出元の近接性により, 当該地域から進出元への生産補完や, さらに両地域の工場間での部品別分業体制化が可能な点による. しかし最新鋭工場が多い当該地域では, 今後, 自動車メーカーのみならず1次部品メーカーの効率的な生産体制が実現し, 一層重要な自動車生産拠点となる可能性が大きい. その際に, 労働力および広大な土地の獲得容易性が, 生産拠点化の促進要因となる.
- 経済地理学会の論文
- 1994-05-31
経済地理学会 | 論文
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