有孔虫化石群集解析にもとづく富山県小矢部市周辺の大桑層堆積時 (後期鮮新世〜前期更新世) の古環境変遷
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概要
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富山県小矢部市北部に分布する大桑層(上部鮮新統〜下部更新統)について, 岩相・有孔虫化石群にもとづき, 本層の堆積・海洋環境について検討した.大桑層下部堆積時(後期鮮新世)の北陸地方は, 現在と比較して概して寒冷であり, 冷温〜亜寒帯の環境下にあった.同層上部堆積時(前期更新世)もほぼ同様に寒冷であったが, 約1.7Ma以降対馬暖流に相当する暖流が, 断続的に日本海へ流入しはじめた.当時の暖流の厚さは, 現在と比較してやや薄かった(80〜120m程度)と推定される.大桑層上部には, 下位から上位に貝化石密集層あるいは小礫岩, 石灰質細粒砂岩, 泥質極細粒砂岩の一連のユニットで構成される堆積サイクルが5回繰り返されている.これらのサイクルの下部に認められる石灰質堆積物(貝化石密集層・石灰質細粒砂岩)は, 海進初期の貝化石の集積と海水準上昇期に河川からもたらされる泥の供給量が低下するという2つの要因で形成されたと考えられる.
- 2000-03-21