981. 鮮新統荻久保層産 Chlamys 属 (二枚貝) の多様性
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概要
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長野県北部の下部鮮新統荻久保層から数多くのChlamysが採集された.これらの標本は, 次の6種に同定される.すなわち, Chlamys (Chlamys) cosibensis (Yokoyama), C. (C.) ingeniosa tanakai Akiyama, C. (C.) foeda (Yokoyama), C. (C.) insolita (Yokoyama), C. ("C.") lioica shigaramiensis Amano et Karasawa, C. (Leochlamys) tanassevitschi (Khomenko) である.このうち, Chlamys tanassevitschiは従来C. daishakaensis, C. iwakianaとされてきた種であり, 荻久保層からは今回初めて図示された.この様に種が多く見られる理由として, その分布パターンや生存期間が考えられる.Chlamys lioica shigaramiensisやC. tanassevitschiはより深く, 寒冷であったと考えられる折橋向斜構造の北西翼地域に限られ, C. foedaは南東翼に限られている.また, 6種中, Chlamys ingeniosa tanakai, C. insolita, C. lioica shigaramiensisは中新世の遺存種で, 鮮新世中期まで本地域周辺の寒冷な内湾域に生きのびた.以上のような種の棲み分け, 中新世型の種と鮮新世型の種の混合により, 本地域のChlamysの多様性が高くなっている.
- 1994-12-30
著者
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天野 和孝
Department of Geoscience, Joetsu University of Education
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天野 和孝
Department Of Geoscience Joetsu University Of Education
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