888. 美濃帯八幡町から産出したコノドントの混在群集
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概要
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初期ペルム紀から後期三畳紀にわたるコノドントの多くの種が, 岐阜県郡上郡八幡町の堀越峠付近に露出するカルカレナイトの基質をつくる含赤鉄鉱泥質部から混在して多数得られた。このカルカレナイトは赤色を呈し分級はきわめて悪く, 石灰岩や頁岩などの角礫を含み, 初期ペルム紀後期の安久田層の石灰岩に発達した割れ目を充填したような産状を呈する。コノドントの混在の原因は次のような可能性が考えられる。ペルム紀後期から三畳紀後期にかけて安久田層の石灰岩の上に生じた浅海で, 炭酸塩岩が堆積と侵食を繰り返し, コノドントは何度となく洗い出され凝縮して混在した。とくにに後期ラディニアンから初期カーニアンを指示するNeogondolella foliata (s.l.)が他と比較して個体数が圧倒的に多いのは, この時期に堆積が卓越したものと見られる。なお, 初期ペルム紀のコノドントは安久田層に由来する石灰砂や石灰角礫からもたらされたものであろう。後期ノーリアンから中期ジュラ紀までのある時期に, これら混在群集を含む石灰砂や含赤鉄鉱泥質物からなる浅海堆積物は, 津波などの急激なショックによって, 海底で崖を形成していた安久田層の石灰岩に沿って浅海域からsand-streamとなって流れ下り, カルカレナイトとしてその割れ目を充填したものとみられる。コノドントはカルカレナイトのどこをとってもほぼ同じような組み合わせの混在を示し, 6属, 6亜種, 4未定種を含む34種が識別されたが, そのうち1種ならびに2亜種は新しく提唱した。
- 1989-12-30
著者
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猪郷 久治
Department of Earth Sciences and Astronomy, Tokyo Gakugei University
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猪郷 久治
Department Of Geology Osaka Kyoiku University
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猪郷 久治
Department Of Astronomy And Earth Sciences Tokyo Gakugei University
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