760. 津軽盆地の大釈迦層 (鮮新-更新統) の古環境
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
大釈迦層に含まれる貝化石群の群集構成および堆積環境を論じた。いわゆる"大桑万願寺型動物群"の自生又は自生に近い群集として, 下部浅海帯の比較的細粒な底質に生息していたと思われる4つの群集と上部浅海帯の比較的粗粒な底質に生息していたと思われる3つの群集を認めた。本層下半部については貝化石のデータは乏しいものの, 下部に卓越する細粒堆積物は下部浅海帯に, 上部の斜交葉理の発達した粗粒堆積物は上部浅海帯に堆積したと考えられる。上半部の下部には, 海進期の堆積物で, 下部浅海帯に堆積したと考えられる細粒堆積物が発達する。東部地域では, この細粒堆積物の堆積した比較的深い海域が, この時期のうちに, 中央部から北部へ移動した。一方, 北部地域では, 東部で下部浅海帯の細粒堆積物が卓越し, 西部では潮間帯, 上部浅海帯の貝類を含む粗粒堆積物が発達する。すなわち, 北部地域では海が西から東に向かって次第に深くなっていたその後, 本層分布域全体が浅海化して終る。
- 1983-07-15