581. 日本列島ならびに赤道太平洋域の後期新生代海成層の対比
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概要
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中上部中新世から現世にわたる浮遊性珪藻の層位的分布を赤道太平洋域の海底柱状底質について確かめ, それを同一底質中の他の微化石層序と古地磁気層序と比較した。この層序はヨーロッパの標準層序とも比較された。赤道太平洋域のいくつかの特徴種は日本列島の層序にも出現し, 両地域の対比を可能にしている。この対比により, これまで考えられてきた男鹿半島の地層の時代を次のように訂正するのが妥当であるとの結論に達した。1)船川層上部と北浦層は上部鮮新統に対比され, 2)中新-鮮新統の境界はおそらく船川層下部に位置し, 3)女川層上部は上部中新世を含む可能性がある。この対比によると男鹿半島の層序の一部(例えば女川層上部と船川層下部)は不整合による削剥かあるいは堆積速度の急激な減少を示しているように見える。その理由は, 1)Rhizosolenia praebergoniiの進化による最初の出現は赤道域では上部鮮新世下部(Gauss正磁極期中部)に, 男鹿半島では船川層中部に認められる。この種は赤道域で進化したので, それの日本列島における最初の出現は低緯度と同時かあるいは後になるはずである。2)Thalassiosira nativa等の種は, 赤道域と男鹿半島で同じ分布を示す。3)赤道域で後期中新世初期に絶滅するCoscinodiscus yabeiが女川層で同様に絶滅していることは, 女川層の上部も後期中新世に属することを示す。
- 1971-06-30