脊髄圧迫による運動機能低下の脊髄モニタリング法 : 複合筋活動電位と末梢神経電位の応答性の差
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
脊椎・脊髄の手術中の脊髄機能モニタリング法を確立するため,経頭蓋連発刺激によって誘発される徘腹筋からの複合筋活動電位(CMAP)と,脊髄単発刺激によって誘発される坐骨神経からの末梢神経電位(PNP)を組み合わせた脊髄モニタリング法で,亜急性庄迫性脊髄障害による波形変化を,成ネコ10匹を用いて解析した。金側でCMAPはPNPより少ない圧迫量が同量で消失した。波形消失前はCMAPで3.0ms,PNPで約1.0msの潜時延長が見られたが,潜時延長がなく突然波形が消失する場合もあった。PNPの波形消失直後に圧迫を解除してもCMAPは回復しなかったが,PNPは解除15分後から全例で再出現した。検査3週間後に判定した後肢運動機能は,CMAPのみ消失後圧迫解除した群では全例でmotor usefulであり,両者共に消失後に圧迫解除した群では全てflaccid oaraoaresisであった。これらのことより,PNPが消失した場合には脊髄に不可逆的な完全伝導遮断が生じていると考えられ,術中のPNPモニタリングは必須と考えられた。しかし術後の運動機能保存にはPNP消失前に圧迫を解除しなければならず,PNP消失前のサインが重要である。このためにはCMAPの潜時延長と消失,PNPの潜時延長が判断基準になる。従ってPNPとCMAPを併用した術中脊髄機能モニタリング法が,脊髄圧迫による運動機能の判定手段として有用である。
- 2003-12-30