セメントレス人工股関節置換術後のステム周囲のX線像と骨密度の検討
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概要
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セメントレス型人工股関節置換術は,1980年代半ばより我が国に導入され,臨床的に安定した成績が報告されている。しかし,ステム周囲の骨が術後,年余にわたってどのような所見を示すかは不明である。本研究は股関節症の片側罹患と両側罹患に対し,HA/TCPコーティングされたセラミックコーティングセメントレス型のステムを使用した人工股関節置換術例で,術後2年以上6年6ヶ月,平均4年6ヶ月経過した男性10例12関節と女性74例78関節,合計84例90関節を対象とした。これらの症例について臨床検査は術後2年まで,ステム周囲のX線像および骨密度は術後1週,3ヶ月,6ケ月,1年,以後半年ごとに前者は6年6ヶ月まで,後者は5年まで調査した。臨床検査では,局所感染やステムの弛みに影響する所見はなかった。X線像の経時的変化ではosteolysisやsinkingを示す症例はなく,femoral atrophyも術後2年から2年6ヶ月経過すると回復し,弛みを示す所見はなかった。Densification, reactive line, oedestalは術後1年から2年までに出現し,年余を経るに従いbone ingrown fixationとなりステムの固定性は安定した。骨密度は術後3ヶ月まで全てのzoneで減少し,zone3, 4, 5, 6は6ヶ月, zonelは1年以後, zone2, 7は2年以後で回復しはじめ,その変化はX線像上に出現する形態変化に先行して表われた。人工股関節置換術後のステム周囲のX線像と骨密度の経時的変化の分析は,骨動態を把握する上で極めて有用であった。また,術後成績では,その安定性と安全性が支持された。
- 杏林医学会の論文
- 2003-12-30
著者
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