日本の銀行システムの将来ビジョン
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概要
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バブル崩壊から10年余も経ったというのに,日本の銀行はいぜんとして累増する不良債権の償却に苦悩し,耐え切れず破綻に追いこまれる銀行もある.このまま行けば,わが国は再び「金融危機」に陥ることを心配せねばならない.ところが,いま政府(金融庁)がとっている政策,「金融再生プログラム」なるものは金融機関を「再生」させるどころか,金融業を「衰退」に追いこみかねない懸念のある政策である.いま必要な政策とは,銀行に不良債権一掃をせまることでも,また弱小銀行のすべてを救済するということでもない.むしろ将来性がある銀行,国際性のある銀行,地域経済に欠くことのできない銀行の資本ベースを積極的に増強することで,将来の経済基盤となる強い銀行システムを早く作り上げることである.また,そのためには銀行も当局も議論をつくして,わが国の「銀行システムの将来ビジョン」を固めることで,銀行に改革の方向を示し,改革への投資を促すことであろう.
- 2004-03-31