中国国有企業改革の現状と課題 : 遼寧省大中型国有工業企業の財産権改革(<特集>中国経済の変革)
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概要
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90年代の半ば以降,中国の大中型国有工業企業改革の中心的課題は財産権の構造調整である.それは経済システム改革の成否や動向に影響を与えかねない重大な問題である.本論文は,大中型国有工業企業が最も集中している遼寧省を事例にして,この重大な改革の実態と進行状況を考察する.遼寧省の大中型国有工業企業の財産権構造調整は次の内容を含んでいる.(1)国有企業の売却,株式会社化,合弁ないしリース経営,統合・合併および破産・整理.(2)長年累積してきた国有銀行債務の査定と削減.(3)付属企業および事業組織の分離と余剰人員の削減.(4)大規模かつ強力な大型国有会社および企業集団の創設努力.4年余の調整の成果は以下のように表れている.国有企業の硬直化した財産権構造は徐々に開放され,大中型国有企業の国民経済への影響力がある程度増大し,歴史が残した企業債務と余剰人員が軽減されつつある.しかし,大中型国有工業企業の発展能力と運営の質は先進外国の先進企業と比較してまだかなり大きな差が存在し,国有企業の財産権構造調整は一層の深化を待っている.そのために,国有企業が競争的分野からすべて撤退するか否か,また国有企業は社会を安定させ,国民経済をコントロールする役割を果すべきか否かに関する重大な問題において, 共通の認識を形成する必要がある.現在の趨勢が正常に発展していけば,中国の中小型国有企業が競争的産業から完全に撤退し,少数の大型国有企業は競争力のある企業集団を形成するであろう.こうして国有企業を動力とする新しい経済成長極が中国の東北部において実現し,経済改革以来,3回目の経済成長のうねりが盛り上がる可能性がある.
- 立命館大学の論文
- 2003-03-30
著者
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