日産自動車のルノーとの提携による欧州戦略の変化 : 英国日産自動車,英国日産工場調査を基礎にして
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿では,今日のグローバル化のもとで,日本の自動車企業が行っている生産システム革新の実態にせまるために,最近の日産自動車の動向に焦点をあてて,ルノーとの提携という大きな経営環境の変化の中で,日産自動車が生産システム変革のために取り組んでいる状況を,英国日産自動車(NMGB),英国日産工場(NMUK)での調査に基づき,次の3点について考察している.第1は,ルノーとの提携に基づく生産システムに関連した協同の取組み.第2は,欧州自動車市場の特色.第3は,ルノーとの提携を活かしながら展開される欧州市場での日産の販売,生産活動である.そこで明らかになったのは次の諸点である.第1は,ルノーとの提携後,CCT,FTTなどの活動を通じて,生産システムに関連するグローバルレベルでの協同の取り組みが進んでいる.共同購買,マーケティング,販売分野での共通のアプローチ,プラットフォーム,パワートレインなどの共通化の推進,技術交流などである.第2に,ルノーが大きなウェイトをもつ欧州でも,販売体制の合理化,共同購買,プラットフォーム共有車の生産,エンジンの相互供給などが進展しつつある.それらを活用しながら,また,従来からの生産面での強みも活かしながら,日産は,ブランド力強化による販売増,世界同時開発,立ち上げのために,販売,生産活動を強めている.ディーラー水準の引き上げによるCSの強化,デザインカの向上,現地エンジニアカの強化などである.ルノーと日産の提携では,CCT,FTTの活動にみられるように,あらゆる部門において具体的に両社の差異,共通点が明らかにされ,それを踏まえたうえで,両社の長所を生かすように新たな方向が打ち出され,実践されている.生産システム関連でも,開発,生産準備,製造すべてにおいて,組織,在庫の持ち方,技術標準・規格などきめ細かに比較検討されており,両社の生産システムの特性が,より鮮明にうきぼりにされてきている.
- 立命館大学の論文
- 2003-03-30
著者
関連論文
- 香港経済の特質と香港企業の最近の動向 : 共同調査成果を事例として
- 技術経営と生産システム
- 日産自動車のルノーとの提携による欧州戦略の変化 : 英国日産自動車,英国日産工場調査を基礎にして
- 自動車企業における多車種混流生産と開発プロセスの新たな展開--日産車体・湘南工場調査を基礎にして
- 自動車企業のグローバル化と生産技術部門--日産自動車を事例として
- トヨタ生産システムの展開とバーチャル(デジタル)技術の先駆的利用--きんでん寄付研究プロジェクト・アメリカ調査報告
- 自動車企業における情報技術の新展開--MDI(マツダ・デジタル・イノベ-ション)を事例として
- 現代日本自動車企業の組立ラインにおける新たな動向--生産技術部門の機能を中心として
- 日本の自動車部品企業における技術力--歯車,アクスル製造企業を事例として
- 新しい組立ラインの展開と作業形態・人事管理--トヨタ自動車九州・宮田工場を事例として
- 80年代欧米自動車企業における作業形態の変化--能率管理の変化とチ-ムワ-キング化を中心として
- イギリス企業における ME 技術革新と日本的生産システム・労働管理の展開
- 自動車企業(日産自動車)のグローバル化と生産システム(林正樹教授古稀記念論文集)
- 新技術開発と生産・事業モデル革新 : ダイハツ・ミライーステクノロジー開発を事例として(長島修教授退任記念論文集 吉田要教授退任記念論文集 )
- 中国湖南省株洲市経済企業調査(2012年12月)報告
- 韓国釜山地域中小企業高度化の現状と政策 : 2013年 8 月実態調査報告